当社は、2022年6月に持続可能な社会の実現と企業価値向上に向けた当社グループの取り組み方針として「サステナビリティ課題への取り組みの基本方針」を定め、ステークホルダーからの期待に応え、持続可能な社会の発展に貢献することとしています。その中で、サプライチェーン全体の温室効果ガスの排出削減に取り組むことを大きな課題の一つと位置づけています。重仮設事業では賃貸用鋼材の90%をリユースし、また、最終的にはスクラップとしてリサイクルしており、事業自体が循環型社会への貢献を通じ、温室効果ガス排出の削減に大きな役割を果たしていると考えています。気候変動への取り組みは、極めて重要な課題と認識しており、「鋼材のリユースを中心とした事業モデルを常に進展させ、資源循環型経済の実現に取り組む」、「サプライチェーン全体の温室効果ガスの排出削減に取り組む」を重要課題として設定しています。

当社は、2023年4月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」に賛同を表明しました。TCFDは、投資家等が財務上の意思決定を行うに際し、気候変動リスクと機会が投資先の財務状況にどのような影響を及ぼすかを的確に把握していることが重要であるとの考えに基づき、組織運営における4つの中核的要素である「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」に関する情報の開示を推奨しています。当社は気候関連開示の代表的なフレームワークであるTCFDに沿った内容で情報開示を行います。

ガバナンス

気候変動に関するグループの取り組みは、社長が委員長を務めるサステナビリティ委員会の下にグループ環境部会を設置し、技術部門と経営企画部門の担当執行役員が共同で部会長を務め、全社横断で取り組みを推進しています。グループ環境部会では、気候変動に関するリスクと機会の評価を行うとともに、2050年のカーボンニュートラルを目指し2030年までの削減目標を策定し、達成に向けた取り組みを検討しています。検討内容は、サステナビリティ委員会で協議し、技術・事業開発委員会とも相互の報告・提言により連携し、取り組み内容の決定・進捗確認を行っています。また議論の内容は、取締役会に報告され、取締役会は、重要な経営・事業戦略として議論し方針を決定するのに加え、気候変動課題への実行計画等について監督を行っています。また、サステナビリティ委員会で決定された重要事項は、グループ環境部会を通じて事業部門及びグループ会社に伝達され、定期的に実行状況のモニタリングが行われています。

<開催頻度>

サステナビリティ委員会
:3ヶ月毎
グループ環境部会
:毎月※

※グループ環境部会からサステナビリティ委員会への定期報告は6ヶ月毎に実施

戦略

気候変動問題に関わるリスクと機会を正しく認識し、事業・財務戦略に及ぼす影響を評価するため、シナリオ分析を行っています。シナリオは、①産業革命前から今世紀末までの気温上昇を1.5℃に抑え、持続可能な発展を実現させるための政策(規制)強化、市場変化、技術革新が進められる「移行シナリオ」、②産業革命前から気温が4℃程度上昇し、異常気象の激甚化、海水面上昇等の影響が発現する「物理的シナリオ」、の二つで検討しました。それぞれにつき、「調達」「直接操業」「製品・サービスの提供」の各段階で事業に与えるリスクと機会を分析し、その影響の大きさと影響する時間軸を整理し、対応策を検討しています。

「カーボンプライシングの導入」の財務的な影響に関しては、以下の通り評価しました。
当社が2022年度に排出したScope1+2のGHG排出量16,638t-CO2eに炭素価格が賦課されると仮定。
炭素価格は国際エネルギー機関(IEA)が設定している140ドル(NZEシナリオ / 2030年)で試算。直接操業の財務影響の想定額は、 16,638t-CO2e × $140(IEA炭素価格)×¥150(1ドル150円換算)= 349百万円となります。

(注)

  • 2022年度のScope1+2のGHG排出量に炭素税等が課される前提。削減計画の推進により、実際の影響はこれより少額になると予想。
  • 調達資材等の価格が、炭素価格賦課により上昇する場合も、お客様との取引価格の適正化により影響は小さくなると想定。
    以上より、「カーボンプライシングの導入」に関する影響度は「↓(小)」と評価しています。

リスク管理

サステナビリティ委員会内に設置するグループ環境部会では、気候変動が当社事業に及ぼす要因をバリューチェーン上で整理し、リスクと機会の把握とその評価を行い、具体的取り組みを検討しています。検討内容は、サステナビリティ委員会において全社リスクマネジメントの中に統合して検討・審議され、取締役会で方針決定していきます。取締役会で決定された方針や具体的な取り組みの指示は、グループ環境部会を通じて各事業部門やグループ会社に伝達されます。気候関連のリスクや機会に関する対策の実行状況は、グループ環境部会を通じてサステナビリティ委員会で定期的にモニタリングが行われ、重要事項は取締役会に報告されます。これらのリスク管理を通じて、リスクの回避・機会の最大化の実現を図っていきます。

指標と目標

温室効果ガス排出量の削減目標並びに取り組み内容については、2023年に方針決定しました。当社グループは2050年のカーボンニュートラルを目指して、2030年度温室効果ガス排出削減目標(単体)を下記の通り策定しました。スコープごとに目標達成のための取り組みを検討・実行し、今後も継続的に温室効果ガス排出量の実績開示を行っていきます。

対象Scope 基準年排出量
2021年度実績
(t-CO2e)
2030年度目標
(2021年度比)
2022年度実績
(t-CO2e)
Scope1
及び
Scope2
18,427 30%削減 16,638
(▲9.7%)
Scope3
(カテゴリ1※1,4,5)※2
487,294 20%削減 364,998
(▲25.1%)
  • ※1 購入した鋼材、セメントが対象
  • ※2 Scope3総排出量の75%を占め自社の削減努力を反映できる品目が対象